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(2)ACO診断のステップと治療[特集:喘息とCOPDの合併(ACO)]

No.4938 (2018年12月15日発行) P.34

權 寧博 (日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野主任教授)

引地麻梨 (日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野)

丸岡秀一郎 (日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野准教授)

登録日: 2018-12-17

最終更新日: 2018-12-12

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わが国の診療の手引きで喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)の診断基準が示されている

気管支拡張薬使用後の1秒率が70%未満の患者では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息の特徴を診断基準にしたがってそれぞれに確認する

ACO患者では,吸入ステロイド(ICS)を第一選択薬として使用する必要がある

ACOの治療が気管支拡張薬のみで行われることがないように注意が必要である

1. ACOの診断ステップ

今日,喘息とCOPDのオーバーラップ(asthma and COPD overlap:ACO)が慢性呼吸器疾患の診療においてクローズアップされる理由には,わが国のみならず世界的な高齢化が背景にあると考えられる。ACOは,年齢とともにその割合が増加する傾向にあり,近年の高齢化に伴い無視できない問題となってきている1)

かつては,喘息と慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,異なる免疫学的機序に基づいた気道の炎症性疾患と理解されていたため,その病態生理学的違いに基づき両疾患を排他的に鑑別することに注力されていた。しかし,近年,喘息もCOPDも多様な炎症機序により生じる症候群と理解されるようになり,結果,炎症のタイプにより両者を区別することが困難になった。このことは,喘息とCOPDとの疾患の境界を事実上不明確なものとし,両疾患を鑑別することをさらに難しいものにした。事実,臨床の現場においては両疾患の鑑別が困難な場合が少なくない。喘息とCOPDの合併例は,予後不良であることが知られているが,これまでの大規模臨床試験においては,このような合併例が不均一に除外される傾向にあったため,喘息とCOPDの合併例に対して,どのような治療や管理方法が適切であるか明確なエビデンスは得られていない。

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