年間で延べ2700人を超える遺伝性疾患の診療と遺伝カウンセリングを行う。筋ジストロフィーをはじめとする筋・神経系疾患を抱える患者と家族が、全国から外来を訪れる。「診断の結果、赤ちゃんを産むか否かという重大な選択にも立ち会います。私たち医療側は多職種チームで、患者さんと赤ちゃんにとって最良の選択を共に考えます」
診療の一方で力を注ぐのが、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬研究。SMAは脊髄の運動神経細胞の病変により、乳幼児期に体幹・四肢の筋肉が十分に発達しない疾患。齋藤さんはSMAの遺伝子診断法を国内で初めて確立したが治療薬はなく、歯痒い思いをしていた。
現在、遺伝子を活性化する既存薬を用いた医師主導治験の1回目を終えたところ。まったく座れない状態から座れるようになった患者も確認され、「今後の結果にも期待できます」と目を輝かせる。これとは別に、遺伝子機能の変化を促す分子標的薬を用いた、企業主導の国際共同治験にも参加している。
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