【質問者】
石垣 泰 岩手医科大学医学部内科学講座糖尿病・代謝内科分野教授
【GLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害薬等の研究の進展に期待】
この質問に回答することは,なかなか難しいと言わざるをえません。
質問を“血糖コントロールにおける”と言い換えても回答が難しいのですが,さらに合併症を考慮した糖尿病という病態全体の治療という中でこの質問を考えると,さらに難しさは増します。
まず,血糖コントロールにおけるグルカゴンの役割に話を限定しますが,グルカゴンには,肝臓からの糖放出を増やす作用と,膵β細胞からのインスリン分泌を増加させる作用があります。後者は,2018年11月号のCell Reportsに出された論文ではっきり示されたばかりの非常に新しい知見です1)。膵β細胞がある程度残っている状況では,インスリン分泌を増強させる作用が優る可能性が考えられます。また,グルカゴンには,消化管運動を低下させる作用,および中枢に作用し食欲を抑制する作用があります。このことも,血糖コントロール改善に寄与していると考えられます。
残り512文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する