【functional assessmentと同時にmedical assessmentを行う診療技法】
高齢者総合的機能評価(CGA)はfunctional assessmentと同時にmedical assessmentを行う診療技法である1)。多職種で分担して行うこととされるが,含まれる職種の具体的な規定はない。測定・評価すべき最低限の項目の指定がされている。実践しやすいように評価するドメインとその指標を定めて組み合わせたCGAツールや,簡易的なCGAスクリーニングツールが複数提案されている。CGAは1930年代に英国で始まったものである。障害状態にある高齢患者が,十分なnursing careが提供されているにもかかわらず,正しい医学的診断やリハビリテーションが欠けている状態を改善しようとしたMarjory Warren女史の取り組みが起源とされている。わが国でCGAの概念が導入されたのは90年以降で,2008年度には,入院時にCGAを行うことに診療報酬加算が認められるようになった。
通常CGAは,疾患の急性期・亜急性期から慢性期・生活期の段階へと移行する中間の時点で施行される。最近,特定のリスクの予測指標としてCGAをもとにした簡易ツールが開発され,時間・労力をかけずに施行できるよう,CGAよりさらに絞り込まれており,がんの化学療法や外科的治療施行前の「リスク予測指標」として,複数の簡易ツール(GA tools)が用いられている2)。
【文献】
1) Rubenstein LZ, et al:Brocklehurst's Textbook of Geriatric Medicine and Gerontology. 8th edition. Howard F, et al, ed. Elsevier, 2016, p213-9.
2) 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ポリシーNo.39. 高齢者研究.[http://www.jcog.jp/basic/policy/A_ 020_0010_39.pdf]
【解説】
冨田尚希 東北大学加齢医学研究所老年医学