先天性の子宮欠損や病気等で子宮を摘出した女性に、第三者の子宮を移植して妊娠・出産につなげる子宮移植について、日本医学会は5日に会見を開き、移植医療としての安全性や倫理的課題を議論する検討委員会を立ち上げたと発表した。委員長を務める日本医学会副会長の飯野正光氏(日大特任教授)は「決して簡単に結論が出る問題ではないが、できるだけスピード感を持って密に議論を進めていきたい」と述べた。
検討委は、日本産科婦人科学会と日本移植学会の要望を受けて設置されたもの。生殖医療、移植医療、生命倫理、社会学、法学の専門家ら14人が参画する。初会合は4月3日に開かれ、子宮移植を巡る国際動向などについて情報を共有したという。
子宮移植手術では、生命の維持に関わらない臓器である子宮を移植するために、ドナー、レシピエントの両方に高い侵襲をかけることになることから、移植医療としての技術的・倫理的な課題を整理する必要がある。検討委では、現在は認められていない代理懐胎など、子宮のない女性とパートナーが子供を持つための他の手段とも比較しながら、子宮移植を国内で実施することの是非について議論を深めていく考えだ。