株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【OPINION】医学部の2023年問題について

No.4761 (2015年07月25日発行) P.14

クレ カツヒロ (東京・プラザ形成外科院長 アメリカ形成外科医)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next

  • 私は東京で主に外国人対象の形成外科医院を開業している医師です。アメリカで病理学のレジデントからスタートして、12年かけて内科学、一般外科、脳外科、そして形成外科のレジデントを経験しました。最近一部で注目されている、いわゆる医学部の2023年問題について、自らのアメリカでの体験を基にコメントしたいと思います。

    実は差し迫っている「2023年問題」

    2023年問題というのは、日本を含むアメリカ国外の医学部卒業生がアメリカで臨床研修(レジデンシー)を受けるためには、2023年以降は世界医学教育連盟(WFME)が認定した医学部の卒業生でないとアメリカの外国医学校卒業者認定機関(ECFM G)の認定を受けられないとされたことから生じた問題です。ECFMGはこれまで、例えば日本の医学部卒業生には自動的にアメリカの医師国家試験(USMLE)の受験資格を与えてきました。それは日本の各医学部が国際医学教育ディレクトリ(IMED)に登録されていたからでした。

    2023年からは新たにWFMEの認定が必要になるわけですが、2017年医学部入学の学生が卒業するのが2023年ですから、ずっと先の問題ではないのです。USMLEはStep1〜3の3段階からなる試験で、今年または来年入学の学生も在学中にUSMLEのStep1を受験し、Step2、3を受験する頃に2023年になっている可能性もあります。そういう意味では差し迫った問題なのです。

    ところでこのWFMEの基準をみてみると、明らかな数値目標がなく、分かりにくい印象があります。しかし、アメリカで色々な科のレジデンシーを受けた私は、WFMEがアメリカ以外の医学校卒業生に対して何を基準に選別したいのかは想像できます。それは恐らく医学部在学中の実地研修(clinical clerkship)の時間数ではないかと思われます。外国人でも予備校などに行ってUSMLEで高得点をマークできる者は多数いるわけですから、ペーパーテストの成績以外で不足しているものは何かということになります。そして日米の医学教育の中で決定的に違っているのが、clerkshipの時間数とその質なのではないかと思います。

    残り2,148文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top