糖尿病性足潰瘍に対する装具療法では,TCCを中心とした免荷用フットウェアの治癒効果が証明されており,IWGDFのガイダンスでも強く推奨されている
糖尿病性足潰瘍に対する簡易的フットウェアは,免荷の状態を足底圧分布測定器で評価した上で適切に処方する必要がある
糖尿病性足潰瘍患者の歩行維持に対するリハビリテーションの効果は,十分に検証されていないため,今後,エビデンスの構築が必要である
糖尿病性足潰瘍の発生には歩行中の足底圧異常が強く関与しており,その治療においては潰瘍発生部の免荷が重要となる。糖尿病性足潰瘍に対する装具療法の役割は,潰瘍部の免荷であるが,病期により用いる装具(以下,フットウェア)が異なる。ここでは潰瘍治療期と再発予防期にわけて概説する。
糖尿病性足潰瘍の治療期に用いられる免荷用フットウェアのゴールドスタンダードはtotal contact cast(TCC)(図1)1)とされてきた。TCCは下肢切断後のrigid dressingと同様の方略で,下腿から足部にかけて密着するようにギプス(キャスト)を巻くことで,荷重を広い接触面で分散し潰瘍部を免荷する。TCCの潰瘍治癒に対する有効性は多くの報告があり,感染等のない糖尿病性足潰瘍患者を対象としたランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の報告ではTCCを施行した群で90%以上が治癒している2)。Armstrongらが提唱した取り外しのできない下腿装具(instant TCC)もTCCと同様の効果があるとされている3)。