日本医師会は4日の会見で、日本老年医学会の協力を得て作成した「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」の第3弾として糖尿病編を公表した。低血糖の症状が出やすく、フレイル・低栄養などにも注意を要する高齢者糖尿病の治療のポイントを簡潔に解説している。
手引きでは、高齢者糖尿病の治療について、血管合併症の進行予防だけでなく、生活機能やQOLの維持・向上によって健康寿命を延ばし、患者・介護者の負担を軽減することも目的となると指摘。
認知機能障害のスクリーニングツールとして「認知・生活機能質問票(DASC-8)」を活用し、基本的ADL、手段的ADLの状態に応じて血糖コントロール目標(HbA1c)値を設定するよう促している。
治療に関しては、かかりつけ医が持つべき基礎知識として、血糖コントロールが悪化しやすくなるシックデイの対策を明記。「発熱時には水分を1.0~1.5L余分に補給する」「経口血糖降下薬は原則減量・中止を考慮する」など具体的な方法を示している。
薬物療法では、注意を要する薬剤と推奨される使用法を一覧表に整理している。例えばSGLT2阻害薬については「75歳以上の高齢者や老年症候群を合併した前期高齢者では慎重に投与する。eGFR30mL/分/㎡未満は使用を控える」などとしている。
手引きの全文は日医のウェブサイトで閲覧・入手できる(http://dl.med.or.jp/dl-med/chiiki/tebiki/R0105_shohou_tebiki3.pdf)。