治療方針の決定には,遠隔転移検索が必須である
肺癌が転移しやすい臓器は,脳,骨,肝臓,副腎,肺である
胸腹部造影CT,PET/CT,頭部造影MRIを行うことが推奨されている
肺癌と診断された場合,続いて病期診断を行う。これは,TNM分類を用いた病期診断によって正確な予後予測が可能なためであり,治療方針の決定には病期診断が必須である。
米国における2004~2010年の肺癌(小細胞癌を含む)の5年相対全生存率は16.8%であり,肺癌のうち57%は診断時に既に遠隔転移を起こしていた1)。各病期における5年相対全生存率は,限局期54%,所属リンパ節転移例27%である一方,遠隔転移例では4%ときわめて不良であった。
遠隔転移が存在する状態では手術および放射線照射による局所治療の効果が非常に限定的となるため,局所治療の前には必ず遠隔転移検索を行わなければならない。ただし,患者に積極的な治療を行う希望がなく,予後を知りたいという意思もなければ,病期診断を行う必要はないとも言える。
肺癌が転移しやすい臓器は,脳,骨,肝臓,副腎,肺である。ほかにも脈絡膜,皮膚,腎臓,膵臓,脾臓,小腸,大腸,心臓,骨格筋など,どの臓器にも転移する可能性はある。