文部科学省は25日、医学部入試において性別を理由とした差別的取扱いなどの不適切事例があった、またはその可能性が高いと指摘された10校の大学について、今春の入試で不正は確認されなかったと発表した。
10校のうち9校(神戸大、岩手医大、順天堂大、昭和大、東京医大、日大、北里大、金沢医大、福岡大)では、2019年度入試における取り組みの状況を踏まえ、「改善が図られた」と判断された。9校では、文科省が昨年実施した緊急調査により、女性や多浪生に不利な点数調整や募集要項に明記していない基準による配点、特定の受験生に対する優遇などの不適切事例が指摘されていた。
緊急調査で「不適切である可能性が高い」とした聖マリアンナ医大についても、男性や現役生が顕著に高い点数となっている状況は確認されなかったとした。ただし、改善の有無の判断は、同大の第三者委員会の報告を踏まえて行うとした。なお、同大は一貫して不適切入試の疑いを否定している。
文科省の19年度入試に関する調査結果によると、女性を1とした場合の男性の合格率は、東京医大0.98(18年度3.11)、順天堂大0.95(同1.93)、北里大0.78(同0.86)、聖マリアンナ医大0.79(同1.47)となっており、“女性差別”が指摘されていた4校全てで女性の合格率が男性を上回っていた。
文科省は同日、医学部不正入試問題を受けて設置された有識者会議の提言を踏まえ、大学入試の不正行為に関する対応窓口を設置した。電子メールまたは郵送で相談を受け付け、必要があれば対象の大学に対応を促す。