妊娠高血圧症候群(HDP)への降圧薬使用は対症療法にすぎず,母児予後を考慮し慎重に行う
妊婦の血圧変動にも日内変動や長期変動があり,これらを考慮して降圧薬の調節を行う
出産後のHDPには,母乳への影響も考慮しつつ,適宜降圧薬を調節する
妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は,「妊娠20週以降,分娩12週までの間に高血圧が反復してみられる場合,またはこのような高血圧に蛋白尿や母体の臓器障害,子宮胎盤機能不全を伴う場合のいずれかで,かつ,これらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によらないもの」とされ,さらに,「高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia:SPE)を発症していない場合を高血圧合併妊娠(chronic hypertension:CH)としてHDPに加える」ことになった。
HDPの管理の際には,治療を受ける母体のみならず母児予後を考える必要があるので,内科治療とは視点がまったく異なる。一方,CHをHDPの定義に含むようになり,HDPへの降圧薬の使い方を考える際には,CHか新規発症のHDPかを考慮する必要がある。