心房細動(AF)は心不全に合併することが多い不整脈である。一方で,AF患者の死因として最も多いものは心不全である
AF合併心不全患者において,薬物によるレートコントロールとリズムコントロールの治療効果は同等である
AF合併心不全患者において,カテーテルアブレーションによるリズムコントロールが薬剤治療よりも生命予後を改善させることが複数のランダム化比較試験(RCT)で示された
心不全患者では不整脈(心室頻拍・細動)による心臓突然死が多い
心臓突然死予防は植込み型除細動器(ICD)が最も重要な治療法であるが,その作動を減らす目的でカテーテルアブレーションが行われる
基質的心疾患に合併する心室性不整脈に対するカテーテルアブレーション方法として不整脈基質(サブストレート)に対するアブレーションが広まっている
心房細動(atrial fibrillation:AF)は,心不全に合併する最も多い不整脈の中のひとつであり,心機能や血行動態に悪影響を及ぼし,さらに心不全を悪化させる1)。
AFにより,心房と心室の同期が失われること,心拍数が増加し心室の疲弊をまねくこと,R-R間隔が不均一となり収縮の効率が損なわれること,抗不整脈薬やカルシウム拮抗薬による心毒性,などが心不全の原因となる。逆に,心不全による左房の容量負荷・圧負荷や体液性因子の変化が,左房間質の線維化,不応期の変化,伝導速度の不均一化などの原因となり,AFを引き起こす。心不全とAFは悪循環の関係にある(図1)。
直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)の4つの第3相試験のメタ解析においても,心不全で亡くなった患者数は出血や塞栓症の死亡者数よりも多かった2)。また,AF患者における死亡以外の「イベント」で最も多いものは心不全による入院であった3)。