心血管疾患患者の再入院予防には,疾病管理プログラムとしての包括的心臓リハビリテーション(心リハ)の役割が欠かせない
疾病管理プログラムは,多職種チームが入院中から退院後にわたり医学的評価・患者教育・生活指導を包括的かつ計画的に実施して,再入院抑制を含む予後改善をめざす中期~長期にわたるプログラムである
入院中だけでなく退院後も継続して,多職種介入による疾病管理を行うことにより再入院を減少させることができる
わが国は超高齢社会を迎え,心血管疾患に苦しむ患者が増加している。いったん心血管疾患に罹患すると,心拍出量低下に伴う臓器への灌流障害や自律神経および神経体液性因子の異常をきたし,安静を促されることも加わり,運動耐容能が低下する。運動耐容能の低下は,QOLの低下をきたし生命予後を悪化させる。このため,運動耐容能を維持させる目的に運動療法を中心とした心臓リハビリテーション(以下,心リハ)が施行されてきた。
しかし,塩分や水分の摂取,体重の管理が不十分なために,入退院を繰り返す症例も多い。さらに,近年,骨格筋筋力をはじめとした全身の機能が低下し,健康障害を起こしやすい脆弱な状態,いわゆるフレイルが問題となっている。高齢循環器疾患患者の増加に伴い,フレイルの合併や腎機能障害,整形外科的な問題,認知機能障害などといった重複障害に対する介入方法も検討しなければならない。以上をふまえると,運動耐容能改善を目的とした心リハだけでなく,患者や家族に対する教育や生活指導,社会的サポートの提案などを含めた疾病管理プログラムとしての包括的心リハの役割は,これまで以上に大きくなってくると考えられる。