株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

関節リウマチ(RA)治療におけるtreat to target(T2T)について

No.4981 (2019年10月12日発行) P.54

伊藤 聡 (新潟県立リウマチセンター副院長)

登録日: 2019-10-09

最終更新日: 2019-10-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【はたして実践されているのか?】

関節リウマチ(RA)の治療にtreat to target(T2T)が導入され10年になる1)。糖尿病や高血圧では,治療目標としてHbA1cや血圧値が定まっていたが,RAでは目標がなかったため,T2TではDAS28などの総合的疾患活動性指標を用い,まず臨床的寛解をめざすこととなった1)~3)

しかし当院では,必ずしもすべてのリウマチ医が総合的疾患活動性指標を患者に教えておらず,リウマチ専門医からの紹介患者も,総合的疾患活動性指標を知っている患者は皆無である。リウマチ友の会の講演でも,80人ほどの出席者中,総合的疾患活動性指標を理解していた人は3人であった。当院のナースの調査では,DAS28を理解している患者は,理解していない患者よりも有意に疾患活動性が低く,満足度が高かった4)

筆者が月に1回外来を行っているクリニックでは,メトトレキサート(MTX)使用患者はDAS28-CRP 2.3をカットオフとした基準で寛解率が100%であり,さらにアダリムマブ使用患者のほとんどがバイオフリーとなっていた5)。MTX以外のcsDMARDsの併用,DAS28のパンフレットを使用してT2Tを実践しているためと考えている。リウマチ医は原点に戻ってT2Tを実践すべきである。

【文献】

1) Smolen JS, et al:Ann Rheum Dis. 2010;69(4): 631-7.

2) 伊藤 聡:Rheumatol Clin Res. 2012;1(1):40-3.

3) 伊藤 聡:クリニシアン. 2013;60(2):166-76.

4) 伊藤 聡, 他:リウマチ科. 2015;54(3):349-57.

5) 舩津丸恵美子, 他:臨リウマチ. 2018;30(2):126-34.

【解説】

伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top