通常,ヒトの脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖であり,血中ブドウ糖濃度低下で意識がなくなる。症状としての冷や汗,動悸,手の震えは,低血糖を防ぐ生理的反応である。ブドウ糖10g(50%ブドウ糖20mL)を直ちに服用または静脈投与すると約50mg/dL上昇し,1時間程度効果がある。副腎不全,飢餓,薬物/アルコールの影響,インスリン産生腫瘍,インスリン自己免疫症候群など,原因に留意する。
空腹感,冷や汗,動悸,手の震え,そして意識消失,脳機能障害がみられる。
血糖70mg/dL(あるいは3.9mmol/L)未満が低血糖とされる(表)1)。
ただし,妊婦は60mg/dL未満で低血糖として対処する。低血糖脳症では,脳MRIで異常が観察されることがある。
血糖70mg/dL未満でブドウ糖10g(50%ブドウ糖20mL)を服用または静脈投与すると血糖は約50mg/dL上昇し,1時間程度効果がある。原因を確認し予防(対応)してゆくことが重要である。
インスリン使用患者が食前低血糖でブドウ糖を用いない場合,以下の3点の問題が出る。
①そのまま低血糖で意識消失し食事ができなくなる。
②血糖を上昇させる反応が継続するといったん血糖が上昇し,顕著な高血糖となる。
③その場は無事でも低血糖に反応しにくくなり,無自覚低血糖となる。
原因が副腎皮質ステロイド投与後の内因性副腎不全の場合は,長時間作用の持効型インスリンの使用は禁忌と言ってよい。無自覚低血糖者の対策を行わない自動車の運転は法令違反となる。
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