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生物学的製剤の投与患者に起こる免疫再構築症候群について

No.4990 (2019年12月14日発行) P.58

徳田 均 (JCHO東京山手メディカルセンター 呼吸器内科)

田中 徹 (日本医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野)

登録日: 2019-12-11

最終更新日: 2019-12-10

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  • 生物学的製剤の投与患者に起こる免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)の現状,病態,対処法などについて,日本医科大学・田中 徹先生のご解説をお願いします。

    【質問者】

    徳田 均 JCHO東京山手メディカルセンター 呼吸器内科


    【回答】

    【結核発症時の生物学的製剤中止に伴い免疫再構築症候群を生じることがある】

    生物学的製剤,特に腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)阻害薬投与中に結核を発症した際の対応として,抗結核薬治療に加えTNF阻害薬の中止が一般的ですが,その結果宿主の細胞性免疫能が回復し,一部の症例で結核の病状が悪化することが知られています。この現象は,結核を合併した後天性免疫不全症候群の症例に対して抗ウイルス療法を開始した後にみられるIRISと同様の病態と考えられています。わが国で2004~12年の間に生物学的製剤投与中に結核を発症した関節リウマチ患者408例のうち13例で死亡が確認されており,それら死亡例の多くは結核の診断や治療の遅れではなく,結核発症時の生物学的製剤中断に伴う結核(Tuberculosis:TB)関連IRIS(TB-IRIS)の関与が推測されていることからも,十分な対応が必要です。

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