【採用を1社に限定することで効果,安全性を把握できる】
A社の高血圧治療薬バルサルタンの原薬に発がん性物質が混入したことが判明し自主回収が行われたが,ジェネリック医薬品(GE)普及のための報道規制かと疑うほどマスコミに取り上げられなかった1)。
中国で製造された製品であり,日本医師会も「原薬を含めたトレーサビリティーの確保が重要」と主張した1)。
F社の高血圧治療薬,バルサルタンとアムロジピンの合剤(インド産)にも発がん性物質が混入しており,自主回収が行われた。今回はネットニュースや新聞でも報道されたが,扱いは小さかった。
筆者はGE品の採用は1社に限定し,効果,安全性を把握できるようにしており2)3),先発品と同一のオーソライズドGE(AG)を優先的に使用している1)。筆者らはトラマドールとアセトアミノフェンの配合錠(トラムセット®配合錠)は,腎機能低下,胃潰瘍や喘息のある患者で有用であることを報告した4)。2018年22社がGE(トアラセット®配合錠)を発売したがAGの発売はなく,当院では採用依頼のあった6社に一度に製品を説明してもらう「T1-グランプリ」を開催し,採用を決定した。同種の薬剤が一度に登場した場合はこういう手法をとってはいかがかと提案する。
【文献】
1) 伊藤 聡:新潟医師会報. 2018;10(823):15-6.
2) 伊藤 聡:新薬と臨. 2013;62(4):129-38.
3) 伊藤 聡, 他:リウマチ科. 2017;57(1):118-28.
4) 伊藤 聡:リウマチ科. 2015;53(3):317-26.
【解説】
伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長