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両心室ペーシング治療(CRT)の現状と今後の展望は?

No.4994 (2020年01月11日発行) P.51

福田浩二 (国際医療福祉大学病院不整脈センター部長)

中井俊子 (日本大学医学部内科学系循環器内科学分野診療教授)

登録日: 2020-01-09

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  • 重症心不全患者に対する両心室ペーシング治療(cardiac resynchronization therapy:CRT)は,4極リードの導入,マルチサイトペーシング,ペーシング設定の自動化など進歩してきています。現在のCRT治療の現状と今後の展望について教えて下さい。
    日本大学・中井俊子先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    福田浩二 国際医療福祉大学病院 不整脈センター部長


    【回答】

    【デバイスの進歩,ガイドラインの改訂によりレスポンダーは増加すると期待される】

    CRTは心室伝導障害(あるいは房室伝導障害)を有する心不全に有効な治療ですが,この治療効果を最大限に引き出すためには,適切な設定が不可欠です。

    心不全患者,特に伝導障害・同期不全を有する症例においては,房室(atrioventricular:AV) delayにより血行動態が大きく変化することが示され,ノンレスポンダーの要因としてAV delayの至適化が重要であることが指摘されました。当初はAV delayをマニュアルで設定していましたが,現在のほとんどの機種に自動至適化機能が搭載されています。この機能を活用することによって簡便かつ有効性の高い至適化が容易にできるようになり,CRTのレスポンダーも増加していると実感しています。

    また,近年,左室の4極リードの2極を利用するマルチサイトペーシングも可能となり,その有効性が示されています。ただし,マルチサイトペーシングが可能な部位に左心室(left ventricle:LV)リードが留置できないことも多く,また,マルチサイトペーシングを行うことにより電池消耗が大きくなるため,全例で使用するということは現時点では得策ではないと考えています。さらに理由を加えると,従来のCRTでも十分効果が期待できる症例も多くあるからです。従来のCRTで効果が得られない場合,あるいは非常に重症な症例で早急な効果を期待したい場合などにマルチサイトペーシングを活用しているのが現状です。

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