何らかの抗原や有機粉塵の吸入によるアレルギー性反応で,肺胞および細気管支に炎症が引き起こされた状態が過敏性肺炎の主病態である。キノコ,カビ,酵母などの真菌や鳥類の排泄物に含まれる蛋白質,人工物ではイソシアネートなどが原因となる。たとえば,夏型過敏性肺炎では,真菌のTrichosporon asahii,鳥関連過敏性肺炎では,鳥類血清蛋白,糞,羽毛など,農夫肺では,放線菌Saccharopolyspora rectivirgulaなど,加湿器肺では,細菌や真菌類が原因抗原として考えられている。
急性型と慢性型がある。急性型では,抗原曝露後4~8時間で咳嗽,息切れ,発熱などを呈し,原因物質から離れることで自然に軽快する。一方,慢性型では,労作時呼吸困難が主たる症状で,臨床上特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)との鑑別が難しい場合も多い。
本症を疑うことが最も肝要であり,病歴聴取が特に重要である。ある一定の場所や環境下で症状の悪化があり,入院するなど,原因物質からの回避により症状の改善,軽快がみられる。繰り返す肺炎様症状の場合もある。入院後改善が得られた場合には,試験的な自宅への帰宅・外泊や想定される環境曝露(加湿器使用,羽毛布団使用など)などにより,症状,炎症反応,酸素化障害,胸部画像所見の悪化が認められれば,診断は確実となる。
血液検査に関しては,急性型では,末梢血白血球増多,CRP上昇,LDH上昇などが認められ,間質性肺炎のマーカーであるKL-6やSP-Dが高値を示す。原因抗原に対する特異的IgG抗体(夏型過敏性肺炎での抗トリコスポロン・アサヒ抗体など)が陽性を示す。
胸部画像診断では,びまん性散布性粒状影あるいは,すりガラス影が認められる。慢性型では線維化所見がみられ,胞巣肺が認められることもある。気管支鏡による肺胞洗浄液所見では,急性型でリンパ球の増加,CD4/CD8比の低下が認められるが,慢性型ではリンパ球の増加は軽度で,CD4/CD8比は上昇する。
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