成人Still病(adult Still’s disease:ASD)は,16歳以上で小児のStill病(全身型若年性特発性関節炎)と同様,発熱,皮疹,関節炎を主症状とする,全身性炎症性疾患である。マクロファージやTリンパ球が活性化された結果,IL- 1β,IL-6,IL-18,TNF-α,などの炎症性サイトカインが過剰に産生され,病態形成に関与すると考えられている1)。
診断では,(1)特徴的な臨床症状〔①発熱:弛張熱(典型例では夕方~夜間に39℃以上に上昇し,朝には平熱まで解熱するspiking fever),②リウマトイド疹:瘙痒の少ないサーモンピンク色の丘疹状紅斑(発熱時に出現し,解熱時に消退),③関節症状:手(手根間関節),膝,足,手指関節に好発する多発関節炎〕,検査所見〔高度の炎症反応(CRP上昇,赤沈亢進),高フェリチン血症(正常上限の10倍以上),好中球優位の白血球増加,肝機能障害,リウマトイド因子陰性・抗核抗体陰性など〕を正確に把握すること,(2)感染症(ウイルス感染症,感染性心内膜炎,深在性膿瘍など),悪性腫瘍(悪性リンパ腫,白血病など),他の膠原病〔血管炎症候群,全身性エリテマトーデス,悪性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)など〕,Castleman病,周期性発熱(家族性地中海熱,TNF receptor associated periodic syndrome:TRAPS)の鑑別診断を慎重に行うこと,が大切である。
Yamaguchiらの分類基準2)は診断に有用である。本疾患は,非特異的な臨床像が多く,高フェリチン血症は他の炎症性疾患,腫瘍性疾患でもみられることにも注意する。
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