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■NEWS 【米国糖尿病学会(ADA)】SGLT2阻害薬の心血管系イベント抑制作用はプラセボと有意差なし:VERTIS-CV試験

登録日: 2020-06-18

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本年度ADAで、最も注目されたのはこの試験だろう。心血管系(CV)2次予防の2型糖尿病例において、SGLT2阻害薬がプラセボを上回るCVイベント抑制作用を示し得なかったランダム化試験“VERTIS-CV”である。Christopher P. Cannon氏(ハーバード大学、米国)らが報告した。

VERTIS試験の対象は、冠動脈、脳血管、末梢動脈の少なくともいずれかにアテローム動脈性疾患を認める2型糖尿病患者8246例である。平均年齢は64歳、9割近くが白人で、糖尿病罹患期間平均値は13年間、平均HbA1cは8.2%だった。指定討論者のMack Cooper氏(モナシュ大学、豪)はこの患者群を「心不全例が若干多い(約25%)のを除けばEMPA-REC Outcome試験に近い」と評していた。

これら8246例は、SGLT2阻害薬の標準用量群(エルツグリフロジン5mg/日)と高用量群(同15mg/日)、あるいはプラセボ群にランダム化され、二重盲検下で平均3.5年間追跡された。

その結果、1次評価項目である「CV死亡・心筋梗塞(MI)・脳卒中」の発生率は、SGLT2阻害薬群(標準・高用量併合)、プラセボ群ともに11.9%だった(非劣性、P<0.001)。またSGLT2阻害薬群を「標準用量」群と「高用量」群に分けて比較しても、やはりプラセボ群との間に有意差は認められなかった。先述のCooper氏はこのカプランマイヤー曲線に関し、「標準用量群と高用量群が何回もクロスしている。これはEMPA-REGでは認められなかった事態だ」と指摘していた。

さらに、1次評価項目を「CV死亡」、「非致死的MI」、「非致死的脳卒中」に分けて比較しても、SGLT2阻害薬群とプラセボ群間には有意差はなかった。SGLT2阻害薬群におけるハザード比(95%信頼区間[CI])は順に、0.92(0.77-1.11)、1.0(0.86-1.27)、1.0(0.76-1.32)である。なお、SGLT2阻害薬群の収縮期血圧は、試験開始52週時点でプラセボ群に比べ、標準用量群で2.6mmHg、高用量群で3.2mmHg、有意に低値であり、その差は試験終了まで維持されていた。同様に、体重も52週時点で、SGLT2阻害薬群はいずれも、プラセボ群に比べ2kg超の低値であり、この差も試験終了まで維持された。にもかかわらず、ハザード比は上記の数字であった。

加えて、2次評価項目である「CV死亡・心不全入院」も、SGLT2阻害薬群におけるハザード比は0.88(0.75-1.03)と有意差には至らなかった。ただし「心不全入院」のみで比較すれば、SGLT2阻害薬群で有意なリスク低下が認められた(ハザード比:0.70、0.54-0.90)。

2次評価項目とされた「腎関連評価項目」(腎死・腎代替療法導入・クレアチニン倍加)にも、有意差はなかった(SGLT2阻害薬群ハザード比:0.81、0.63-1.04)。

本試験はMerck & CoとPfizer Incから資金提供を受け、実施された。

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