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坐位行動と産業保健

No.5023 (2020年08月01日発行) P.49

佐藤博貴 (名古屋市立大学環境労働衛生学)

上島通浩 (名古屋市立大学環境労働衛生学教授)

登録日: 2020-08-04

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【定量化によりエビデンスのある活動を】

近年ではオフィスワークの増加や工程の自動化に伴い,坐位作業主体の労働者が増えてきている。「坐位および臥位におけるエネルギー消費量が1.5メッツ以下のすべての覚醒行動」で定義される坐位行動は総死亡,2型糖尿病,心血管疾患,がん等との関連性が指摘され,産業保健における重要な健康課題のひとつである。従来は業務外の余暇時間を利用した身体活動増進が注目されていたが,坐位行動による健康リスクは身体活動の程度によらないとするメタ解析の結果も報告され,それぞれが独立した健康影響要因ととらえ直されつつある。一方で,身体活動が長時間坐位による総死亡を減少させるという報告もあり,結果が一致していない。これらの背景には,坐位行動や身体活動の評価が主観的な自記式質問紙票により,定性的な変数で集計されていることが影響している可能性がある。

坐位行動の軽減に着目した産業保健活動は,作業関連疾患に対して有効な一次予防策となる可能性がある。坐位行動時間の正確な定量化が課題となっていたが,最近では加速度センサーを用いた測定法の開発も進んできている。健康経営やコラボヘルスが注目される中,定量的な評価手法を用いて現場からのエビデンスを蓄積していくことにより,企業に対して説得力のある産業保健活動の展開が可能となる。

【参考】

▶ Ekelund U, et al:Lancet. 2016;388(10051): 1302-10.

▶ 榎原 毅, 他:産業医レビュー. 2016;20(3):145-61.

【解説】

佐藤博貴,上島通浩  名古屋市立大学環境労働衛生学 *教授

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