(愛知県 M)
【甲状腺結節の超音波診断基準】
甲状腺疾患のスクリーニングに超音波検査を用いることの是非は,いまだに論議の残っている問題です。しかし,現実には,頸動脈エコー等の際に頻繁に甲状腺病変の存在が指摘されることは,読者の方々はご経験済みのことと思います。ここでは,その際の精査基準について述べたいと思います。
ご指摘の通り,長径20mm以上の結節性病変はすべて精査基準の対象となります1)。長径20mm未満の囊胞は経過観察。実質性病変(囊胞部分が50%以下のものを含む)はまず大きさによって区分します。5mm未満は経過観察とします。5~10mm未満のものは甲状腺結節の超音波診断基準(表1)2)に照らし合わせ,悪性が強く疑われるときは吸引細胞診となります。10~20mm未満の結節で悪性所見が1項目以上ある場合も吸引細胞診の対象となります。囊胞内の実質部は基本的に実質性病変に準じて判断します1)。
【文献】
1) 日本乳腺甲状腺超音波医学会, 他, 編:甲状腺超音波ガイドブック(改訂第3版). 南江堂, 2016.
2) 貴田岡正史, 他:超音波医学. 2011;38(6):667-70.
【回答者】
貴田岡正史 イムス三芳総合病院内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長