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高齢者の切除不能進行・再発胃癌症例に対する化学療法の適応やポイントは?

No.5038 (2020年11月14日発行) P.51

浦岡俊夫  (群馬大学大学院医学系研究科 消化器・肝臓内科学分野主任教授)

藤原俊義  (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学教授)

登録日: 2020-11-13

最終更新日: 2020-11-10

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  • 高齢者の切除不能進行・再発胃癌症例に対する化学療法の適応やポイントをご教示下さい。開発が活発になっている遺伝子治療およびウイルス療法の最新動向も併せて,岡山大学・藤原俊義先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    浦岡俊夫 群馬大学大学院医学系研究科 消化器・肝臓内科学分野主任教授


    【回答】

     【経口フッ化ピリミジン製剤のS-1あるいはカペシタビンとオキサリプラチンの併用療法が弱く推奨される】

    わが国は2007年以降,超高齢社会となっており,2019年の総務省統計では総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は過去最高の28.4%となっています。いわゆる「団塊の世代」を含む70歳以上は21.5%で,75歳以上の人口は14.7%,80歳以上は8.9%となっており,今後この流れはさらに加速していくと推測されます1)。このような状況の中,胃癌の年齢調整罹患率は低下傾向にありますが,胃癌罹患者数はむしろ増加傾向にあり,2030年までは罹患者数が増加すると言われています2)。年齢階級別罹患者数は高齢者ほど多く,高齢者における胃癌治療は社会的にも重要な課題と言えます。

    胃癌治療の第一選択は外科的切除ですが,高齢者の場合は各臓器機能の予備力が低下していたり,何らかの既往症や重篤な併存症を有していたりすることが多く,筆者らも高齢者に多い筋肉量の減少(サルコペニア)が術後の予後不良,特に他病死に高率につながることを明らかにしてきています3)

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