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AIを用いた内視鏡の今後の展望について

No.5044 (2020年12月26日発行) P.52

塩飽洋生  (福岡大学医学部消化器外科学講座講師)

三澤将史  (昭和大学横浜市北部病院消化器センター講師)

登録日: 2020-12-23

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  • 人工知能(artificial intelligence:AI)を用いた内視鏡の今後の展望について,今後,AIは医師を超えていくのでしょうか。昭和大学横浜市北部病院・三澤将史先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    塩飽洋生 福岡大学医学部消化器外科学講座講師


    【回答】

    【専門医を超えるAIの実現は難しいが,診療サポートとして必須になるだろう】

    近年ディープラーニングと呼ばれる新しいAI技術が普及し,医療に限らず我々の生活の様々な領域で活用されつつあります。消化器内視鏡において,国内では現在2つのAIを使った内視鏡ソフトウェアが承認され,市販されています(EndoBRAIN®シリーズ,オリンパス社)。海外でも,リアルタイムに大腸ポリープの発見を支援するAIが販売開始されています。また,多くの研究者がAI内視鏡の開発に鎬を削っており,この数年で多くのソフトウェアが市販されるでしょう。

    では,これらのAIは今後医師を超えていくのでしょうか? 私は,こと内視鏡領域においては,医師を超えるほどの精度を達成するのは困難と考えています。以下,その根拠を述べたいと思います。

    近年AIが注目を集めるきっかけとなったのは,ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)というAIの画像認識精度を競うコンペティション(2015年)で,AIが人間の精度を超えたことです。このコンペティションの課題は1000種類(!)の物体認識です。つまり画像の中に映っているものが何か(具体的には「人」「信号機」「車」「花」「犬」……など)をAIが判定するものです。AIが学習するデータは,物体がそれぞれラベル付けされた画像です。ラベル付けするのは人間ですが,これらの物体を見誤る可能性は低く,学習データラベルの正確性はきわめて高くなります。一般にディープラーニングは与えられた画像が莫大であってもほぼすべて記憶していくことが可能です。その記憶したパターンに基づき推論することになるため,学習するデータのラベル付けが正確であればあるほど精度は高くなります。

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