【質問者】
福冨友馬 国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室長
【真菌感作は喘息発症後にも生じる。アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)の可能性を念頭に置く】
アスペルギルス,アルテルナリア,ペニシリウム,クラドスポリウムなどの空中浮遊真菌に感作されている比率は健常人より喘息患者で高く,重症喘息患者ではさらに高いことが知られています。また,真菌感作(アレルギー)は喘息の難治化要因のひとつとして知られています。
筆者らが行った成人重症喘息患者での検討でも,29%の症例が少なくとも1つの真菌に感作されており,粘膜常在真菌を除けば最も感作頻度が高い真菌はアスペルギルス(11%)でした。さらに,真菌に感作された集団は感作されていない集団に比し,より喘息コントロールが不良でした1)。
近年,わが国より,10年間以上治療された喘息患者の検討で,アスペルギルス感作の多くが喘息発症後に生じていることが報告されました。さらに,アスペルギルス感作は,(経過観察開始時の)肺機能低下やフォローアップ時の高用量吸入ステロイド薬使用と関連し,高用量吸入ステロイド薬による治療が真菌感作を助長している可能性も示唆されました2)。
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