【診断と治療の手引きで定義,診断・治療の要点などが紹介されている】
喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,共通の臨床症状(咳,喘鳴,呼吸困難など)を持ち,ともに慢性気道炎症や気道リモデリングを持つ。しかし,喘息では好酸球主体の気道炎症がみられるのに対し,COPDでは好中球主体の気道炎症がみられ,病変部位も解剖学的に異なっている。
臨床の現場においては喘息とCOPDを明確に鑑別することには,困難を伴う。このような状況下で「喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き 2018」1)が発刊された。
①喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)を「慢性の気流閉塞を示し,喘息とCOPDのそれぞれの特徴を併せ持つ疾患」であると定義した。
②咳,痰,呼吸困難を訴える呼吸器疾患は数多くあり,ACOは代表的疾患である。
③咳,痰,呼吸困難を訴える他の疾患を問診,身体所見,胸部単純X線画像などで除外した上で,喘息,COPD,ACOを診断するために呼吸機能検査,血液検査を実施し,喘息の特徴とCOPDの特徴を参考に診断する。
④ACOは,喘息あるいはCOPD単独の場合と比べて増悪しやすく,また,呼吸機能低下も著しい。
⑤治療は,中用量の吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤,あるいは中用量のICSと長時間作用性抗コリン薬(LAMA)で開始する。
【文献】
1) 日本呼吸器学会喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018作成委員会, 編:喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き 2018. 日本呼吸器学会, 2017.
【解説】
堀口高彦*,近藤りえ子 藤田医科大学呼吸器内科学Ⅱ講座 *教授