【質問者】
前川 聡 滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科 教授
【目標体重は年齢,併存症,フレイルの有無などを考慮し,個別化を図る】
食事療法は2型糖尿病治療の基本ですが,中でも最も重要なことは目標体重と総エネルギー摂取量の設定です。従来,日本糖尿病学会では標準体重をBMI(body mass index)22kg/m2と定め,これに労作に必要なエネルギーを乗じて,総エネルギー摂取量を決めてきました1)。標準体重をBMI 22kg/m2とした根拠は,1980年代になされた職域健診で,最も異常値の少ないBMIが男女ともに22kg/m2であったことによっています2)。当時の日本の成人の平均BMIが22kg/m2であったことから,この計算式はごく自然に受け入れられ,他の多くの学会もこれを引用してきました。
しかし,BMI 30kg/m2を超える肥満者がめずらしくなくなった今日,目標体重の再検討の必要性が指摘されています。日本人を含め,アジア人で最も総死亡率が低いBMIには20~25kg/m2の幅があり,70歳以上は25kg/m2を超えても死亡率の増加はありません。BMI 22kg/m2はどの年齢でも目標としなければならない理想の体重とは言えないのです。
残り944文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する