【質問者】
小熊 剛 東海大学医学部内科学系呼吸器内科学准教授
【壊死性血管炎や肉芽腫などの病理診断が得られなくとも強く血管炎の診断を疑う際は治療を開始する】
EGPAは気管支喘息またはアレルギー疾患を背景に出現する,末梢血好酸球増多を伴う原因不明の全身性壊死性血管炎です。2011年にGuillevinらは,①心病変,②消化管病変,③高齢発症(65歳以上),④腎不全(Cr>1.7mg/dL),⑤副鼻腔炎がない,の5項目(five factor score:FFS)をEGPAの予後不良因子として挙げ,FFS≧2では生命予後が不良であると報告しました。EGPAの5年生存率は90%を超えるようになってきましたが,最近の報告ではEGPAの20年生存率は文献により差異はあるものの,45~70%程度と長期的には予後不良であり,予後を規定する臓器障害は主に心病変の有無によると考えられています。
EGPAを診断するときには壊死性血管炎や肉芽腫などの病理診断が得られないことも多いのですが,時間や日単位で急激に発症・増悪する症例が存在するため,総合的な臨床所見から強く血管炎の診断を疑う際は治療を開始してもよいと思います。治療の第一選択薬は全身ステロイド薬ですが,FFS≧1であればステロイドにシクロホスファミドの併用〔パルス療法(IVCY)〕を考慮します。維持療法の免疫抑制薬としてはアザチオプリン,メトトレキサートが多いですが,文献レベルではシクロスポリン,interferon-α,anti-TNF-α,タクロリムス,イマチニブ,ミコフェノール酸モフェチルなどの報告があります。また,わが国ではステロイドで改善不十分な末梢神経障害に対してガンマグロブリン大量療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)の施行が可能です。新規治療として,IVCY抵抗性の血管炎にはリツキシマブを投与する方法が多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA),顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)だけではなくEGPAについても報告され,特にANCA陽性例で効果的であり,喘息にも有効という報告があります。
残り470文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する