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アミロイドーシス[私の治療]

No.5069 (2021年06月19日発行) P.41

安東由喜雄 (長崎国際大学薬学部アミロイドーシス病態解析学分野教授/学長)

登録日: 2021-06-18

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  • アミロイドーシスとは,通常は可溶性である蛋白質が,様々な要因により不溶性の線維状構造物であるアミロイドヘと変性し,諸臓器に沈着することで様々な機能障害をきたす疾患群である。ALアミロイドーシス,家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloid polyneuropathy:FAP),老人性全身性アミロイドーシスは厚生労働省に難病指定されている。
    ALアミロイドーシス:異常形質細胞が単クローン性に増殖し,その産物である免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)がアミロイドを形成する。稀に重鎖(H鎖)が前駆蛋白質となるAHアミロイドーシスもある。
    FAP:遺伝的に変異を起こしたトランスサイレチン(transthyretin:TTR)が前駆蛋白となり末梢神経,自律神経系,心臓,腎臓,消化管,眼などの臓器に沈着する常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを言う。
    AAアミロイドーシス:関節リウマチなど慢性炎症に続発し,血清アミロイドA蛋白が原因蛋白質となる。
    老人性全身性アミロイドーシス:TTRが前駆蛋白となり,70歳代以降に発症しやすく,主に心臓や運動器に障害をきたす。
    透析アミロイドーシス:長期の透析に伴いβ2ミクログロブリンが前駆蛋白となり,手根管や運動器に沈着する。

    ▶診断のポイント

    アミロイド蛋白質の沈着臓器は,心臓,腎臓,消化管,神経など多臓器にわたり,臨床症状は多彩である。初期にはALアミロイドーシスでは全身倦怠感,体重減少,浮腫,貧血などの非特異的症状があるが,他の病型では特徴的な症状がない。経過中にうっ血のほか心不全,蛋白尿,吸収不良症候群,末梢神経障害,起立性低血圧, 手根管症候群,肝腫大,巨舌,皮下出血などを呈する。

    心アミロイドーシス:超音波や心電図,MRI,血清NT-proBNPなどでスクリーニングができるが,ピロリン酸心筋シンチグラフィーを行うと,FAPや老人性全身性アミロイドーシス症例では90%以上の感度で陽性になることが明らかになっている。最も生命予後を左右する。

    末梢神経障害:FAP,老人性全身性アミロイドーシス,ALアミロイドーシスなどで認められるが,皮膚パンチ生検,神経伝導速度,SudoScan®などで小径線維の障害を証明することが重要である。

    腎アミロイドーシス:しばしばネフローゼ症候群を呈し,蛋白尿や浮腫, 低アルブミン血症を呈する。胸水や心囊液貯留をみることもある。

    消化管:胃および十二指腸に沈着しやすい。交代性に下痢・便秘が起こり吸収不良症候群などがみられる。血管周囲へのアミロイドの沈着が起こり,消化管出血が起こることもある。

    【診断】

    全身性アミロイドーシスの診断には,少なくとも2臓器にわたる病変を認めることが重要であり,限局性アミロイドーシスと鑑別する必要がある。

    確定診断には病理検査が必要で,アミロイドーシス全般のスクリーニングとしては腹壁脂肪生検が広く行われている。低侵襲性で簡便であるが,FAP以外では感度が低いため,複数の臓器〔消化管(特に胃・十二指腸),口唇,皮膚,唾液腺,歯肉など〕での生検を行い,コンゴレッド染色で陽性を確認する必要がある。その後,前駆蛋白を免疫組織染色で決定し(決定できないときは質量分析装置を使用する),各種検査により病変臓器の範囲を決定し,治療の方針を決めていく。

    ALアミロイドーシスでは,M蛋白の検出に血清・尿の電気泳動が行われてきたが,遊離軽鎖(free light chain:FLC)の算出が保険適用となり感度が98%と高いことから,広く行われるようになっている。アミロイドーシスでは疾患特異的なマーカーがないので,既存の疾患に該当しない場合,まず本症を疑うことが重要である。

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