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糖尿病の食事療法④:食品,食習慣

No.5073 (2021年07月17日発行) P.45

曽根博仁 (新潟大学血液・内分泌・代謝内科教授)

登録日: 2021-07-18

最終更新日: 2021-07-14

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 【食事内容の重要点も示されている】

食事内容としては,食物繊維を増やし(20g/日以上),食塩を減らし(男性7.5g/日,女性6.5g/日,高血圧合併例6.0g/日),アルコールはエタノール換算で25g/日を目安とすることとされている。我々の日本人糖尿病患者を対象にした大規模研究でも,野菜や果物1)が多いこと,食塩2)や肉類3)が少ないことが心血管合併症リスクが低いことと有意に関連していた。

一方,ビタミンや微量ミネラル,n-3系脂肪酸の糖尿病管理における有用性は確認できなかった。また,今回新たに人工甘味料に関する項目が加わり,体重管理に有用とするメタアナリシスがある一方,糖尿病予防および血糖改善に対する効果については,エビデンス不十分とされた。

さらに,食習慣に関する項目も設けられ,朝食を抜くことや夜遅く食べることなどが,糖尿病の発症のみならず,肥満や合併症のリスクになることが指摘された。

今回の改訂では多くの議論が交わされたが,たとえば,今回残された総エネルギー摂取目安量の計算式についても,海外のガイドラインには,このような計算式はみられず,我々の研究でも,摂取エネルギーとBMIとの関係には非常に個人差が大きいことが示されている4)。その意味で,将来的にはまだ改訂の可能性は残るであろう。

【文献】

1)Tanaka S, et al:Diabetes Care. 2013;36(12): 3916-22.

2)Horikawa C, et al:J Clin Endocrinol Metab. 2014; 99(10):3635-43.

3)Horikawa C, et al:Eur J Nutr. 2019;58(1):281-90.

4)Sone H, et al:Diabetes Res Clin Pract. 2007;77 (Suppl 1):S23-9.

【解説】

曽根博仁 新潟大学血液・内分泌・代謝内科教授

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