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糖尿病の日常診療で行うべき合併症リスクの評価法など

No.5075 (2021年07月31日発行) P.51

前田泰孝 (南 昌江内科クリニック/ 南糖尿病臨床研究センターセンター長)

井口登與志 (福岡市医師会福岡市健康づくりサポート センターセンター長)

登録日: 2021-07-29

最終更新日: 2021-07-28

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  • 糖尿病の日常診療で行うべき合併症リスクの評価法について教えて下さい。また,合併症ハイリスク症例の治療選択において,現在の医療で可能なことと将来への期待についてご教示下さい。福岡市医師会福岡市健康づくりサポートセンター・井口登與志先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    前田泰孝 南 昌江内科クリニック/ 南糖尿病臨床研究センターセンター長


    【回答】

     【血糖コントロール評価のほか,尿中微量アルブミン排泄量・尿蛋白量,ABI,PWV測定など】

    日常診療で行うべき合併症リスクの評価としては,やはり血糖コントロール評価が最も重要です。特に細小血管障害については,HbA1c 7%未満の達成が重要です。過度に厳格なコントロールによる低血糖の増加や肥満の助長は心血管イベントのリスクを悪化させることが明らかになっています。個々の患者の臨床的背景を考慮した最適な血糖コントロールの目標設定が大事と考えられ,その考えは「糖尿病診療ガイドライン」1)に反映されています。食後高血糖や血糖変動もリスク因子とされており,日内変動を考慮した血糖管理が重要とされています。また,血糖管理のみならず,生活習慣指導に加えて,血圧や脂質を積極的に管理する集約的治療により心血管イベントや細小血管障害が抑制されることが示され,血圧,脂質,喫煙,肥満などもリスク因子として重要です。

    日常診療でも施行可能な合併症リスクの非侵襲的検査法も普及しています。簡易な検査として重要なのは,尿中微量アルブミン排泄量または尿蛋白量測定です。早期腎症診断や腎症のステージ分類に必要であるばかりでなく,心血管イベントの予測因子としても重要です。わが国では約20%の患者しか検査されていないとの調査報告もあり,検査の普及が必要です。

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