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NVAF症例でのDOAC内服前後の心房内における凝血の動態

No.5082 (2021年09月18日発行) P.50

永嶋孝一 (日本大学医学部内科学系循環器内科学分野准教授)

登録日: 2021-09-15

最終更新日: 2021-09-14

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非弁膜症性心房細動(non-valvular atrial fibrillation: NVAF)症例での直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)内服前後の心房内における凝血の動態についてご教示下さい。(島根県 Y)


【回答】

【フィブリン網が血小板血栓を覆い固めることで血栓が形成される】

まず血栓形成には,血小板による一次止血と,血液凝固因子が関与した凝固カスケードによる二次止血(フィブリン血栓)があります。二次止血には,内因性(血管内凝固因子により引き起こされる)と外因性(組織成分により引き起こされる)の経路が関与し,この2つの経路が合流した後,血液凝固因子の第Ⅹa因子によって,プロトロンビンからトロンビン(第Ⅱa因子)が生成されます。最終的にはこのトロンビンが,フィブリノゲンをフィブリン(第Ⅰ因子)へ変換させ,フィブリン網が血小板血栓を覆い固めることで血栓を形成します。

現在使用可能である4種類のDOACのうちダビガトランは,トロンビン(第Ⅱa因子)の働きを阻害することで抗凝固作用を示します。また残りのリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンの3剤は,第Ⅹa因子を阻害し,プロトロンビンからトロンビンへの変換を抑制することにより抗凝固作用を示します。いずれの薬剤でも内服後,速やかに血中濃度が上昇するため,すぐに抗凝固作用が出現します。

最高濃度と半減期は薬剤により異なるため,効果発現時間も薬剤間で異なりますが,総じて2~5時間以内に最高血中濃度に達し,6~12時間で半減期をむかえます。いずれの薬剤もワーファリンとは異なり,内服を中止するとすぐに抗凝固作用は消失するため,休薬は慎重にならなければなりません。また国際標準比(international normalized ratio:INR)のような,薬剤の血中濃度をモニタリングする指標もないことから,脳梗塞予防効果を維持するには,ワーファリン以上に服薬アドヒアランスが重要となってきます。

【回答者】

永嶋孝一 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 准教授

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