【質問者】
菊池大輔 虎の門病院消化器内科部長
【内視鏡的止血術ではクリップ術と比較しバンド結紮術が短期・長期再発抑制効果が高い】
大腸憩室出血の内視鏡的止血術の適応は,内視鏡で,①活動性出血,②非出血性露出血管,③除去によって①または②を示す付着凝血塊の所見を認めた場合です1)。内視鏡的止血術には,エピネフリン局注法,凝固法,クリップ法,結紮法(endoscopic band ligation:EBL),留置スネア法があります1)。わが国ではクリップ法またはEBLを選択している施設が多く,両治療法は止血術としても承認されています。
①クリップ法
クリップ法には,直接血管を把持する直達法と憩室口をふさぐ縫縮法があり,再発率がより低いと考えられる直達法を可能な限り用いるのがよいとされています1)。ただし,直達法は出血源が活動性で,狭い憩室開口または深い憩室に位置する場合は困難なことが多く,その際は内視鏡先端にフードを用いて吸引するなどの工夫をして直達法を試みるか,もしくは縫縮法を選択することになります。
②結紮法(EBL)
EBLは,活動性出血でも狭い憩室開口でも深い憩室でも,治療が可能です2)。しかし,スコープをいったん抜去しEBL装置をつけて再挿入する必要があるというデメリットがあります2)。また,EBL後の腸管穿孔の報告もあり2),使用前には患者に対する十分なインフォームドコンセントが必要です。
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