黄体機能不全は「黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全により,子宮内膜の分泌期変化が正常に起こらないもの」と定義されている1)。臨床的には,胚の着床障害等から不妊症や不育症の原因となる可能性があり,黄体期不正性器出血の原因ともなりうる。黄体機能不全の診断方法やその治療の要否については,依然,議論の対象となっているが2),わが国の一般不妊診療では,黄体補充や黄体賦活療法等のluteal supportが,広く行われているのが現状である。不育症に対しての検査・治療としても,黄体機能不全の意義について結論は出ていないが,わが国での提言では,現時点でそのスクリーニングは推奨されていない。
一般的には,基礎体温および高温相中期の血清プロゲステロン値により診断されている2)3)。基礎体温では高温相が10日以内のものを,高温相中期(高温相5~9日目頃),採血では,複数回の血清プロゲステロン平均値が10ng/mLを下回った場合を,黄体機能不全として治療の対象としている。
通院の可否を含め,患者と相談の上で治療法を決定している。ゴナドトロピンを用いた排卵誘発は黄体機能不全をきたしやすく,luteal supportをルーチンで組み合わせている。簡便さからは,内服プロゲスチン療法が用いやすく第一選択としている。
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