子宮腺筋症は,子宮筋層内に子宮内膜組織が侵入し,局在性あるいはびまん性に子宮を腫大させる。子宮内膜症と比較しても月経困難症などの疼痛が著明である。また一般的に30~40歳代の発症が多く,晩婚化の影響もあり,治療方針に難渋することもある。
月経困難症を含めた著明な疼痛を伴い,鎮痛薬でのコントロールが困難なことが多い。
経腟超音波所見として,子宮の局所的あるいはびまん性の筋層の肥厚がみられる。また,MRIでは子宮筋腫と異なり境界不明瞭なT1 low intensity,T2 low intensityであるが,点状high intensityに描出される像として診断される。
挙児希望の有無により方針が異なる。若年者で現在挙児希望がない場合は,低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)や黄体プロゲスチン製剤(DNG製剤),子宮内黄体ホルモン放出システム(LNG-IUS)により排卵を抑制し,月経困難症の改善を目的とした治療を行う。将来的に挙児希望がない場合や閉経前の患者には,上記ホルモン剤内服に加えて,手術による子宮全摘術も選択肢となる。不妊治療と並行して子宮腺筋症の治療を行う場合,疼痛管理を中心に鎮痛薬で管理を行う。
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