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機能性子宮出血[私の治療]

No.5229 (2024年07月13日発行) P.55

金西賢治 (香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学教授)

登録日: 2024-07-15

最終更新日: 2024-07-09

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  • 機能性子宮出血は,日本産科婦人科学会の『産科婦人科用語集・用語解説集』で「器質性疾患が認められない子宮からの不正出血をいう。多くは内分泌異常によるが,まれに血液疾患によるものがある」1)と定義されている。これらを含有する異常子宮出血は,生殖年齢女性の約10~30%が経験するとされており,思春期と50歳代で高いと言われる。

    ▶診断のポイント

    産婦人科領域では,これまで不正性器出血という用語が広く用いられてきたが,明確な定義はなく,機能性子宮出血や異常子宮出血(abnormal uterine bleeding:AUB)を含める用語として認識されている。2007年,International Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)によりAUBという概念が提唱された2)。2011年,2018年の改訂を経てAUBの鑑別診断システムとして,一般的な病因の頭文字をつけた原因別分類法であるPALM-COEIN分類(FIGO AUB System 2),および症状別分類法(FIGO AUB System 1)が提唱された。これを受けて『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023』3)では,「不正性器出血」から妊娠性出血と「腟内異物・外傷・腟炎・子宮腟部腫瘍・子宮腟部びらん等,直視下あるいはコルポスコピーにて確認できる病変」による出血を除外した,標準的な月経以外の出血をAUBと定義した。

    上記のアルゴリズムに従い,不正性器出血のうち妊娠に関連する出血を常に除外し,AUBと判断される場合,器質性疾患(FIGO AUB System 2に準じ,内膜ポリープ,子宮腺筋症,子宮筋腫および悪性疾患)を内診,画像診断や生検などで除外したものを機能性子宮出血と診断する。これはFIGO AUB System 2のCOEINに相当し,そこでは病因を凝固異常(C:coagulopathy),排卵障害(O:ovulatory dysfunction),子宮内膜機能異常(E:endometrial),医原性(I:iatrogenic),その他(N:not otherwise classified)に分類する。これらのうち排卵障害に起因する内分泌異常の頻度が高いことから,年齢,月経周期,問診により基礎疾患(von Willebrand病などの血液凝固障害)の有無やホルモン製剤,抗凝固薬の内服の有無を確認し基礎体温や血中ホルモン値などを参考に診断を進める。

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