思春期患者の月経に関する主訴で最も多いものは月経不順であるが,初経後早期では未熟性に起因するものも多い。月経に関する最大の異常は無月経であり,系統的な診察・検査により原因を探索し,病態に応じた介入を行う必要がある。
特に原発性無月経では,二次性徴発現の有無等,全身的な状態の確認が重要となる。原発性無月経の定義は満18歳で初経をみないものであるが,この年齢まで漫然と経過をみることは容認されず,15歳で初経を認めない場合には介入を行う。
思春期患者の外来受診時の主訴で最も多いものは月経不順であり,ついで無月経,月経困難症が挙げられる。初経後,最初の1年間では50%程度に月経不順を認めるが,その割合は年齢が上がるにつれ低下していき,7年目では22%程度にまで低下する。18歳以下の女性における無月経の誘因としては減食(ダイエット)によるものが最も頻度が高く,月経異常の割合は体脂肪率の減少とともに上昇していく。また,過度のスポーツによるエネルギー不足も無月経の原因となる。
原発性無月経は満18歳を迎えても初経の起こらないものとされるが,わが国での初経発来年齢は,12.3±1.0歳と報告されており,15歳を迎えても初経を認めない場合には,初経遅延として精査を行い,治療介入を検討する1)。精査では,第二次性徴発現状況,外性器の状態,腟・子宮の有無,染色体検査の結果等より診断を行う。染色体核型が45,Xまたはそのモザイクの場合には,ターナー症候群の女性として,特有の合併症の検索を行うとともに,ホルモン補充開始の時期を検討する。染色体核型が46,XYの場合には,アンドロゲン不応症やSwyer症候群が疑われる。初経以外の第二次性徴が認められ,腟開口が認められない場合には,子宮・腟の欠損,あるいは月経血の流出路障害等を疑い画像検査を行う。染色体正常女性核型で器質的異常を認めない場合,血中ゴナドトロピン値およびプロラクチン値を測定する。高ゴナドトロピン値を認める場合,卵巣性無月経が疑われる。正常または低ゴナドトロピン値を認める場合には中枢性の異常を疑い,下垂体腫瘍の検索,LH-RHテスト等により障害部位を診断する。
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