子宮体癌は子宮内膜腺上皮から発生する悪性腫瘍で,閉経期・閉経後の女性に好発し,近年その発生数は増加している。子宮内膜増殖症の中で異型内膜増殖症は前がん病変と考えられている。
不正性器出血を主訴に受診した閉経後女性患者で,経腟超音波で内膜の病的肥厚像を認める場合には積極的に精査すべきであり,子宮内膜組織診で確定診断する。
子宮体癌については,手術療法により腫瘍の完全摘出をめざすことが最も重要であり,原則的に子宮全摘出術+両側付属器摘出術+後腹膜リンパ節郭清術を行い,術後の摘出物の病理組織検査の結果に基づいて進行期および再発リスク分類を決定する。再発中・高リスク患者に対しては術後化学療法が勧められる。異型内膜増殖症に対しては,子宮全摘出術+両側付属器摘出術を勧める。
40歳未満の若年子宮体癌の増加に伴い,妊孕性(子宮)温存を希望する患者が増加している。一定の条件を満たす子宮体癌および異型内膜増殖症に対しては,患者,家族の強い希望がある場合には高用量黄体ホルモン(MPA)療法を検討するが,再発例が多いこと,血栓症などの薬剤合併症があることを十分に理解した上で開始する必要がある。
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