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帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)の診断と手術適応について

No.5224 (2024年06月08日発行) P.54

菊地 盤 (メディカルパーク横浜院長)

佐古悠輔 (聖路加国際病院女性総合診療部/藤田医科大学医科学研究センター分子遺伝学研究部門)

登録日: 2024-06-06

最終更新日: 2024-06-04

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  • 2022年度より,不妊治療の保険適用と同時に帝王切開の瘢痕による不妊症,すなわち「帝王切開子宮瘢痕症」の手術が保険収載されています。その診断と手術の適応について,どのような点に注意すべきか,種々の実際についてご教示下さい。聖路加国際病院・佐古悠輔先生にご解説をお願いします。

    【質問者】菊地 盤 メディカルパーク横浜院長


    【回答】

    【CSDiは症状と検査で診断され,手術適応は慎重に判断される】

    昨今,帝王切開瘢痕症候群として知られていますが,国際的にはcesarean scar defect,isthmocele,nicheなど様々に表現されていたため,2023年にcesarean scar disorder(CSDi)と定義が統一されました1)。これに相応する用語は「帝王切開子宮瘢痕症」とされています。

    CSDiの診断基準は1次症状と2次症状に細分類され,1つの1次症状または2つの2次症状が必要条件ですが,実際の診療では1次症状のみで診断とすることがほとんどです。

    疾患頻度は,子宮の陥凹だけであれば24~70%(約60%)と幅広く,さらに症状を認めるのは約30%と報告されています1)。帝王切開後,3回規則的な月経を認めたあとに診断が行われ,①症状,②検査が重要となります。

    代表的な症状は“月経終了後にも持続する茶色い帯下”と報告されており2),当院の帝王切開瘢痕症候群専門外来に来院する患者のほとんどに認められます。本症を疑うためには,医療者側から「排卵日周囲や月経終了後にだらだらと続く茶色いおりものはありますか?」と質問することが肝要です。その他の“帝王切開後から認められる”月経困難症や慢性骨盤痛などの症状は少数です。

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