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わが国の心不全治療における心臓再同期療法(CRT)の位置づけ,および欧米とわが国のガイドライン上のCRTの取り扱いの違いは?

No.5098 (2022年01月08日発行) P.46

清水 渉 (日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野教授)

野田 崇 (東北大学大学院医学系研究科循環器内科学講師)

登録日: 2022-01-05

最終更新日: 2021-12-28

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  • 近年,心不全治療薬として,ARNI,SGLT2阻害薬,イバブラジン,さらにベルイシグアトが登場し,心不全薬物治療が新たなパラダイムシフトを迎えています。心不全非薬物治療の代表である心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:CRT)のわが国での位置づけ,および欧米とわが国のガイドラインにおけるCRTの位置づけについてご教示下さい。東北大学・野田 崇先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    清水 渉 日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野教授


    【回答】

     【適応は十分に薬物治療を行われたQRS幅の広い患者。特に左脚ブロックで効果が高い】

    心不全患者では,その進行に伴い心電図上のQRS幅は広がり,心房および心室内伝導障害と非協調的心室収縮が生じます。これらの是正を行うための治療法がCRTであり,重症心不全の重要な治療法となっています。

    その適応は「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/up loads/2018/07/JCS2018_kurita_nogami.pdf)に詳しく述べられていますが,β遮断薬やACE阻害薬などの十分な薬物治療を行っても,心不全症状や心機能が改善しないQRS幅の広い患者が対象となっています。近年では新規心不全薬物〔ARNI(サクビトリルバルサルタン),SGLT2阻害薬〕などの導入も考慮した後に行うこと,となっています。過去の報告では,①左脚ブロックの患者では,内服薬の導入で左室収縮能の改善する割合が低い一方,CRTへの反応がよい,②心不全の進行に伴い心筋細胞に置換性線維化が起こる前にCRTを行わないと反応が悪い,などがわかっており,左脚ブロックの患者では早期にCRTを考慮すべきとなっています。

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