SUMMARY
プライマリ・ケアを実践する家庭医療,在宅医療では医師が多職種と連携し,臨床倫理的な考え方を用いて様々な問題に対応できると考えられる。そのため,地域の中で臨床倫理的な問題を検討する場を増やすことが重要と考える。
KEYWORD
地域臨床倫理カンファレンス(臨床倫理検討会)
臨床倫理の問題を含む症例に対し,地域の臨床倫理カンファレンスが開催され,多職種で相談することが,問題解決の道へつながると考えられる。地域にない場合は,臨床倫理学会や地域の基幹病院の倫理学教室との連携が重要である。
PROFILE
1995年慶應義塾大学医学部卒業。同大学大学院(内科・血液学)修了。同大学病院内科研修・血液内科専修医修了。横須賀米海軍病院,亀田ファミリークリニック,飯塚・頴田家庭医療プログラム家庭医療後期研修医・在宅フェロー,亀田森の里病院副院長を経て現在に至る。
POLICY・座右の銘
プライマリ・ケアの拡充と地域の健康問題の解決 独立自尊
近年,病院内での意見の対立や倫理的ジレンマ等の臨床倫理問題の解決を支援する倫理コンサルテーションが普及している1)〜3)。多様な背景を持つ人々の対話が重視され,①情報の共有,②新たな解決方法の発見,③考え方の変化,によって問題解決につながるとされる1)。また,地域の医療,看護,介護に関わる多職種等に対しては,倫理の専門家にコンサルトする院外臨床倫理コンサルテーション1)や,専門家の支援の有無に関係なく多職種で臨床倫理のフレームワークを用いて症例検討し,問題解決支援をめざす臨床倫理カンファレンス(臨床倫理検討会)が行われている4)5)。
地域でプライマリ・ケアとして外来・入院・在宅医療を行うときに,様々な倫理的な問題(ジレンマ)に苦慮することがある。どのように解決するか悩ましいときは,地域の倫理カンファレンスを開催し,コンサルテーションに依頼することで,問題が解決する可能性が高まると考えられる1)〜5)。