IgG4(immunoglobulin G4)関連疾患は,全身の様々な臓器に肥厚性・結節性・腫瘤性病変をきたす疾患で,気管支や肺,胸膜等の胸郭内に生じる病変をIgG4関連呼吸器疾患と言う。
血清IgG4の上昇,病変部位のIgG4陽性細胞浸潤および線維化所見を認めたら,厚生労働省の研究班による「2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準」1)に照合して診断する。呼吸器が主病変の場合は,「IgG4関連呼吸器疾患診断基準」2)を用いて診断する。診断の際には,悪性疾患や膠原病などの類縁疾患との鑑別が必須である。
罹患臓器の症状や機能障害の程度によりその治療方針は異なる。下垂体・眼窩・膵臓・胆管・腎臓・後腹膜などにおいて病変による臓器機能障害が生じる場合は,絶対的な治療適応となるが,唾液腺などに限局し,症状に乏しい場合は,無治療にて経過観察することもある。呼吸器では,気管支の肥厚性病変や胸水による呼吸困難など,呼吸機能障害が生じた場合は治療適応である。
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