【質問者】
植木浩二郎 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長
【イメグリミンはインスリン分泌促進,作用改善作用があり,ほとんどの2型糖尿病患者に効果的である】
イメグリミンは,膵β細胞におけるインスリン分泌をブドウ糖濃度応答性に促す膵作用と,肝臓における内因性糖産生抑制・骨格筋における糖取り込みを改善する膵外作用の2つのメカニズムで血糖降下を示すと考えられています。
イメグリミンのインスリン分泌促進作用に関しては,GKラット由来の単離膵島を用いた検討で,膵β細胞におけるnicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)の発現を増加させ,その作用を介してインスリン分泌を促進させると報告されています。NAMPTは主要なNAD+合成経路の第一酵素です。したがって,本薬剤は単離膵島において,細胞内NAD+を増加させ,その結果,CD38を介してサイクリックADPリボース(cADPR)を増加させることになります。cADPRは小胞体から細胞質へのCa2+の放出を促進させ,インスリン分泌を促進させることが知られているので,イメグリミンのインスリン分泌促進作用を一部説明できていることになりますが,他の機序の存在を示すデータもあり,今後のさらなる検討が必要と考えられます。
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