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食道アカラシアに対するPOEMの現況と今後の展望は?

No.5120 (2022年06月11日発行) P.50

郷田憲一 (獨協医科大学消化器内視鏡センター センター長/教授)

福田 久 (自治医科大学内科学講座消化器内科学部門)

登録日: 2022-06-08

最終更新日: 2022-06-07

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  • 食道アカラシアに対する経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy:POEM)の現況と今後の展望についてご教示下さい。
    自治医科大学・福田 久先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    郷田憲一 獨協医科大学消化器内視鏡センター センター長/教授


    【回答】

    【食道アカラシアに対する標準治療として普及し,またthird space endoscopyの発展にも寄与している】

    内視鏡医にとって消化管の筋層というのはダメージを与えてはいけないものであり,筋層のダメージにより消化管内腔と外がつながる状態を「穿孔」といい,大きな偶発症のひとつです。しかし,2008年にInoueらによって開発された低侵襲内視鏡治療であるPOEMは,内視鏡的に筋層を切開するという,それまでの内視鏡医の常識を覆すものでした1)

    POEMは経口内視鏡を用いて粘膜下トンネルを介して内視鏡的に筋層へアプローチし,食道の内輪筋だけを切開する手技で,現在では食道アカラシアに対する標準治療として行われています。2018年には日本消化器内視鏡学会からPOEM診療ガイドラインも発表されています2)。短期成績は,外科手術であるHellerの筋層切開術と同等であると報告されています。また治療後10年の成績も良好であることが報告されており3),今後いっそう普及していくものと考えられます。

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