▶消費者庁は9月23日、日本サプリメント社が特定保健用食品(トクホ)として販売する「ペプチド茶」など6商品の許可を取り消すと発表した。トクホの取消は1991年の制度施行以来初めてだ。
▶取消となった商品は、かつお節オリゴペプチドに含まれる「LKPNM」というアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害成分を血圧の「関与成分」として表示許可を取得、「血圧が高めの方に適した食品」と表示していた。しかし、同社が2014年に行った調査で、LKPNMが実際には規格値未満である疑義が判明。その結果を今月まで国に報告しなかった悪質性から取消に至った。
▶トクホを含む健康食品の表示に関する日本医師会の委員会答申を8月6日号の「まとめてみました」で紹介したように、巷では「主成分が不検出」「含有量が表示量を超過している」といった健康食品が堂々と販売されている。今回のトクホ取消は、そうした「氷山の一角」がたまたま国の目にとまった故の措置とも言えるだろう。
▶トクホは現状、一度国の審査をパスすれば「永年許可」となっている。昨年4月には、国の審査なしに食品の機能を表示できる「機能性表示食品」制度も始まり、その数は300を超える。健康食品は健常人を対象とした商品とはいえ、医薬品や複数商品との併用効果を含めた市販後調査を行うなど、審査の在り方を見直す必要があるだろう。
▶前述の日医委員会の答申は、医学的見地から健康食品は「不必要」と断じている。ただ、短く端的な機能表示や広告の文言は、時に医療者の言葉以上に人を惹きつける。医療者も「たかが健康食品」と切り捨てず、表示に関する情報を積極的に取り入れ、未知の健康被害防止につなげたい。