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産業医が勧告を出すタイミングや方法,コツについて

No.5125 (2022年07月16日発行) P.56

奥田弘美 (精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)/ 株式会社朗らかLabo代表取締役)

櫻澤博文 (合同会社パラゴン代表医師・ 労働衛生コンサルタント)

登録日: 2022-07-15

最終更新日: 2022-07-12

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  • 過重労働面談で意見書を書いても,なお長時間労働が継続している場合や,職場巡視で複数回指摘しても改善されない場合などに,勧告を出すタイミングや方法,意識されているコツについてご教示をお願いいたします。
    産業医・労働衛生コンサルタントの櫻澤博文先生(合同会社パラゴン代表社員)にご解説をお願いいたします。

    【質問者】

    奥田弘美 精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)/ 株式会社朗らかLabo代表取締役


    【予防労務:労働衛生の3管理に沿った衛生委員会での調査審議権を行使する】

    【回答】

    日本人には,忖度し上には楯突かないという傾向があります。長時間労働は美徳とされ,時間外労働を行ったとしても「サービス残業」ということで残業代は支払われないばかりか,「過労死」を含めた健康障がいという不利益を被っていました。そして,その分の利益は事業者や株主にもたらされていました。

    この不公平さの解決と事業主責任の明確化のために,国は2006年に労働安全衛生法(安衛法)を改正し,一定時間以上の長時間労働を「過重労働」と定義し,かつ医師による面接制度を義務化しました。しかしながら,その事業主責任は面談する医師が負わせられかねないことになりました。労働安全衛生規則(安衛則)第52条の3第4項にて,長時間労働者に対し医師は面談の「申出を行うよう勧奨することができる」とされたからです。勧奨せずに有害事象が生じたら,誰がその責任を負うことになるのでしょうか。

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