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食道炎(好酸球性食道炎を含む)[私の治療]

No.5134 (2022年09月17日発行) P.41

樋口和秀 (医療法人ラポール会理事長)

菅原徳瑛 (大阪医科薬科大学第二内科)

登録日: 2022-09-19

最終更新日: 2022-09-14

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  • 食道炎とは,何らかの原因により食道に炎症が起こり,疼痛や違和感などの不快な症状を引き起こす疾患の総称である。原因としては,胃食道逆流のほかに好酸球性食道炎,カンジダやサイトメガロウイルスなどによる感染性の食道炎,腐食性物質の誤飲などによる食道炎,放射線性の食道炎など多様である。治療は病因に合わせて施行していくため,原因の特定が重要である。

    ▶診断のポイント

    胸焼け,胸痛,嚥下障害などの症状を訴えることが多く,診断には上部内視鏡検査,生検が有用である。カンジダ食道炎の白色粉末状隆起や好酸球性食道炎の縦走溝や白斑・浮腫など,特徴的な内視鏡所見から診断できることが多い。特に好酸球性食道炎の確定診断には粘膜生検が必須であることに留意したい。また,その際は複数箇所からの粘膜生検が推奨されている。放射線性食道炎や腐食性食道炎では,放射線治療歴や腐食物質誤飲のエピソードの問診,内視鏡での粘膜傷害の存在から診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    好酸球性食道炎では酸分泌抑制薬が約半数の症例で有効で,投薬により症状,内視鏡および病理組織所見が改善することが報告されており,第一選択としてプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)もしくはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)を投与する。PPI治療中止のタイミング,中止後どの程度で再燃するかに関しては,まだ一定の見解はない。

    PPIが無効な症例に対しては,局所ステロイド療法としてステロイド嚥下療法を併用し,効果判定は1~3カ月で行う。しかし,わが国ではいずれの治療も好酸球性食道炎に対する保険適用はない。

    全身ステロイド療法は効果を示すものの,漸減による急速な再燃・再発が起こることが報告されており,副作用の観点からも慎重な使用が勧められる。再燃・再発を繰り返すことで,慢性炎症による線維化に伴う食道狭窄をきたすことも報告されており,有症状時には積極的な治療介入を検討すべきである。

    カンジダ食道炎では粘膜傷害の程度により抗真菌薬を投与する。放射線性食道炎や腐食性食道炎では,粘膜保護薬の投与を行い,疼痛の訴えがあるときは必要に応じてアセトアミノフェンなどの対症療法を併用する。

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