【質問者】
松本久子 京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学 院内講師
急性呼吸不全を呈する多くの疾患でNPPVが実施されるようになり,「NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン(改訂第2版)」によればCOPDの増悪についてはエビデンスレベルⅠの推奨度Aとなっています。またCOPDを合併した場合,人工呼吸離脱支援としてレベルⅠ推奨度B,重症肺炎でレベルⅡ推奨度B,do not intubate(DNI)患者および高齢者でレベルⅣ推奨度Bとされています。一方,同様の閉塞性換気障害をきたす喘息発作の場合はレベルⅡ推奨度C1(科学的根拠は少ないが行うことを考慮してもよい),経験の少ない施設ではC2(十分な科学的根拠がないので,明確な推奨ができない)にとどまっています。これは喘息発作を対象としたNPPVの成績が観察研究やコホート研究主体で,ランダム化比較試験(randomized control trial:RCT)は10~20人規模のもの少数のみであり,またRCTで得られたアウトカムが大半は肺機能改善で,挿管率減少や死亡率減少といった臨床的に影響度の大きい結果が得られていないためです。
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