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ノン・アドヒアランスへの対応─解釈モデル,両価性,社会経済的状況といった隠れた要因[プライマリ・ケアの理論と実践(168)]

No.5149 (2022年12月31日発行) P.10

飯塚玄明 (多摩ファミリークリニック,千葉大学予防医学センター)

鋪野紀好 (千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学特任准教授,千葉大学医学部附属病院総合診療科)

登録日: 2022-12-29

最終更新日: 2022-12-27

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SUMMARY
効果的な治療のためにはアドヒアランス,つまり患者が積極的に治療方針の決定に参加し,治療を受けることが重要である。ノン・アドヒアランスの状況には患者要因のみならず,医師要因や状況要因があることを知ると,様々な対処法に気づける。

KEYWORD
ヘルスリテラシー
自分自身や他人の健康に関連した意思決定や行動に役立つ情報やサービスを見つけ,理解し,利用する能力をどの程度持っているかを意味する(2020年,CDC)。ヘルスリテラシーが高くてもノン・アドヒアランスであることが多々ある。

飯塚玄明1)2) 鋪野紀好3) (1 多摩ファミリークリニック 2 千葉大学予防医学センター 3 千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学特任准教授,千葉大学医学部附属病院総合診療科)

PROFILE
2017年筑波大学医学群医学類卒。2019年聖母病院家庭医療・病院総合診療専門研修プログラムを開始。同年に博士課程に進学。研究テーマは「ソーシャルキャピタルと健康」。(飯塚,写真も)

POLICY・座右の銘
悲観主義は気分だが,楽観主義は意志である

1 アドヒアランスとは?

患者が積極的に治療方針の決定に参加し,その決定に従って治療を受けることをアドヒアランスと言い,効果的な治療に不可欠である1)。アドヒアランスは薬物療法に関して評価されることが最も一般的だが,セルフケア,食事,運動,ライフスタイルの変化などの行動特性に関する医療従事者の推奨にも当てはまる1)。検査や治療を希望しない,生活習慣を改善してくれないといったノン・アドヒアランス患者に対しては,「扱いにくい」,「ヘルスリテラシーが低い」といった陰性感情を医師が抱くことが知られる2)

ノン・アドヒアランスな状況での医師要因,患者要因,状況要因について図1に示した2)3)。本稿では,その中でも特に重要な視点について述べる。

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